CCZ 勇士 Warrior BC-08 3BA+1DDのハイブリッドイヤホン

 

 

今回ご紹介するのはこちら。
当ブログでも過去に紹介したCoffee BeanEmeraldをリリースしたCCZから久々の新作。
勇士-Waiiror-です。

デザイン的には軽量な黒い樹脂ボディにメッキ塗装を施したフレーム。
このフレームがElixir等に比べると存在感があり、カラバリはこのフレーム部分が
青、金、銀の3種。この部分だけでも結構印象が変わる存在感があります。
0.78 2pinですが久々に見るこの凸。qdcと2pinの中間のようなこの端子は
通常の2pinでも特に問題なく使えますが専用端子ならしっかりホールドするので端子部分の故障を防いでくれます。
qdcはこの端子が割れてしまうということが少なからずあるようです。幸い経験はありませんが。

形状は今までのイヤホンを踏襲した少し長めのノズルと深め角度。
結構奥まで突っ込むようなタイプです。
そしてこの伝統といっても良いシリコン製のイヤーフィン。
この出っ張りはホールド感を安定させてくれる代わりに、人によっては耳が痛くなる要因ですが
シリコン製にすることで圧迫感少なめになっています。

ドライバー構成としてはこれまた伝統的な10mmデュアル磁気回路。PET振動板を採用し低域を更に強化。
そこに中高域用のBAが3基。ノズルに高音域用BAが2基で中音域用はDDのすぐ側に設置されています。

音質としては最近あまりなかった濃厚ベースイヤホン。
PET振動板を採用した効果なのか、ただでさえ濃ゆい低音を出すDDが大暴れしています。
サブベースもそこそこですがミドルベースから中音域にかけて低音が支配的に鳴り響く。
若干大袈裟ですがBOSEのコンパクトスピーカー的な濃厚さ。
BAのおかげで高音域に関しては遠いながらもキチンと鳴っており、
中音域も人の声は結構前に出てくる。
どちらもちょっと丸みがついた優しい感じなので抜け感は弱めですが
聞き取りやすい存在感があるので音を大きくしがちな映像作品鑑賞には結構向いてるなと思いました。

問題は低音域で、圧倒的すぎる存在感の為楽曲に拠ってはドラムのスネアですら「モコンッ」と鳴る。
どこかの量感が突出しているわけでは無いんですが、低域全体が標準の1.8倍くらい盛られているイメージ。
刺さりを感じやすいので優しい音が良い!でも迫力がないのは嫌だ!という我儘な要望にはバッチリハマると思います。
今までのタイプでいうとCoffee Beanの系統ですね。
あの低音圧をもっと濃ゆくしたイメージです。BA3基の効果は?と言われるとちょっと困るレベル。
この10mmDDを何とかするには3基積まざるを得なかったんだろうか。

勇士-Warrior-という名が示す通り、ムキムキな低音が攻めてくる低音ホンです。
個人的に音楽より映像作品を大音量で楽しむのに向いてるかなと感じました。
人の声が小さくてSEがバカでかい映像でも耳へのストレスが少ない。
それくらい丸みのあるサウンドです。



総評
オススメな人:何より低音域を重視。中高音は2歩後ろで大人しく鳴ってほしい方。
個人的好み度:10点満点中/6.5点
完成度:10点満点中/8点 このご時世の影響か日本円だと若干お高めですが特製イヤーピースが付いていたり。ちょっと嬉しいやつ。



Jcally EP-08 

今回ご紹介するのはこちら。
Jcally EP-09にそっくりなイヤホン。EP-08です。
MMCXリケーブル可能なデザインで、金属ボディなところは09と共通。素材は微妙に異なるようですが
08の説明にあるCNC Seiko Copperとやらがよくわかりませんでした。つまりは銅合金?
09はチタン合金らしいです。

09に比べ少し角が多くごつめのデザイン。
比較実物を撮りたいところですが09はリケーブルの際に端子ごと抜けるという惨事で帰らないイヤホンになりました。
これだからMMCXは。EP-09のレビューはコチラです。

09がベリリウムコートダイアフラムのDDだったのに対して08はチタニウムダイアフラム。
念のためエージングツールで長めに鳴らし込んでからのレビューになります。

音の第一印象としては09と基本的にあまり変わらず。
強めの低音にキンとした張りのある硬質な中高音。
低音は強めですがイントラとしてはというレベル。
サブベースはそうでもないですがミドルベースあたりがしっかりと盛り上がっているので
シンプルな音楽であればあるほど存在感がどっしり。
ダンス系だとハキハキとした中高音が主張する分相対的に存在感を失います。

09に比べると中高音は若干マシな刺さり具合。あくまで若干。
男性Voだとこの硬質さと主張具合は結構悪くないんですが女性Voはパンチが強くなりすぎてダメでした。
ただホーン楽器やドラム金物の主張は刺さるにしても大分マシに感じました。
ギターのカッティング等に関しては不思議とそこまで前に出てこない。
なんなら少しベースに飲み込まれてる具合。

ある意味09の方が主張がハッキリしていて、08は09の良くも悪くも力強い音を
全体的にパワーダウンした印象。
09のバランスを維持したまま、もうちょっとだけ大人しいイヤホンが欲しいという人がいたらハマるのかも。

個人的にはこれを買うならバランスに優れたNICEHCKのEB2Sか、もうちょっとお金を出せるなら
Senfer PT2022をオススメします。
もうすぐやってくるAliExpressの11.11セールでクーポン適用に後2000円くらい足りないなぁ~という時に
パンチの強いイントラを狙っているならアリ。と思ったんですが現在はまともな価格で取り扱ってるショップがなかったです。(10/22時点)

後はJcally EP-05がありますが、ここまできたらこいつもいつかレビューしたいなぁと思っています。



総評
オススメな人:09と似たバランスのイヤホンが好きな方。
個人的好み度:10点満点中/6点
完成度:10点満点中/7.5点(今回届いた物は特に傷もなく無事だったので)

AMAZONの取り扱いはありません。




TRI Clarion 角笛 手頃で万能なイヤーピース

右側はLサイズ 印字ミスでS表記です
今回ご紹介するのはコチラ。(Amazonリンク
TRIからリリースされたイヤーピース。Clarion-角笛-です。
個人的にかなりヒットしたので記事にしてみました。

イヤーピースはほぼ付属品として付いてきますが品質や形はかなりバラバラ。
高級なモデルだと「これを使ってね!」と言わんばかりの高級イヤピが付属します。
しかしイヤーピースは耳の形が千差万別である以上、どうしても相性が存在します。
個人的な経験を踏まえた上でこのTRI Clarion以下角笛をレビューしました。

見た目は商品ページより引用。
よくあるイヤーピースより少し先端が伸びて壁のようになっています。
素材もノズル部分とソレ以外で異なる素材を使用。
内径は少し広め。
肉厚さは若干薄め。
素材は柔らかめ。

内径の広さは音の広がりに影響します。
ただし低音が気持ち薄くなり、中高音はよりストレートに響く。
狭いと逆に低音は強まり、中高音が少しマスクされます。
角笛はこのバランスがとても取れている印象。
内径が広いにも関わらず先端がやや突き出している壁の効果か、
低音のボリュームを保った上で中高音も減衰しません。
突き出した壁の内側にある反射溝の効果はハッキリ言ってわかりませんが
JVCのドットスパイラルのように、「なんか良い気がする」と思わせてくれます。

個人的にイヤーピースはしっかりと奥に押し込みたいタイプなのですが、
角笛は素材が柔らかく傘も肉厚ではない為痛みや抵抗感はありません。
しかしノズルはある程度肉厚なのでホールド感は良し。
素材もサラサラ系なので圧迫感も少なめ。

今まではJVCドットスパイラルかSendaShortの二択でした。
ドットスパイラルは低音を盛りつつ中高音もそこまで減衰しない。が素材が柔らかいので
音がこんもりとし易い。耳には優しい。
SendaShortは素材が固く全体的に音が硬質に引き締まる。が素材が固いので
フィット感に影響を及ぼしやすい。中高音が強いイヤホンだと若干キツイ時がある。

どちらも内径が広めでかつお手頃価格ということもあり未だお気に入りですが、
角笛は複合素材を使用することでよりバランス型に仕上げた
ドットスパイラルの上位互換という印象を受けました。
・優しい装着感&しっかりとしたホールド感
・広めの音だが低音が減衰せず中高音もバランスを保つ
3ペアで千円以下というコスパ(一番重要)

イヤホンの使用感を変えるのに手っ取り早いのはイヤピ交換。
イヤピ1つで音質はもちろん装着感まで大きく変わるのでお気に入りを見つけるのは大変ですが
付属品からアップグレードを考えるならまずはイヤーピースから始めるのをおすすめします。

TRI Clarion 角笛はSMLセットの他、サイズ別展開でも販売しているのでまずはSMLセット。
あとで気に入ったサイズのみを買い足すことも可能。
そしていつまでかは不明ですが現在999円から100円オフクーポンもあります。


総評
オススメな人:音的にバランスの良い、装着感の良いイヤピを求めている方。
個人的好み度:10点満点中/12点
完成度:10点満点中/10点(パッケージの印字ミスはご愛嬌)



Jcally EP-02 格安イントラシリーズ

 

今回ご紹介するのはこちら。
以前レビューしたJcally EP-09の廉価版。EP-02です。

15.4mmの1DDでナノスケールコンポジットダイアフラム仕様。
千円以下で購入可能なだけありリケーブルは不可。
でも価格の割にはケーブル含めて全体的な作りは割としっかりした印象。
ベント穴は1箇所のみ。そしてイヤーパッドを付けるとベントは塞がってしまうので
イントラコンカとしては半開放というか割りと密閉に近い構造。
イントラの時点で密閉も何もないんですが。

樹脂の筐体ですが背面には金属っぽいデザインのプレートがあったり、
筐体自体も色合いのおかげかブリキのような独特の雰囲気があります。
安いなりにもデザインがスマートながら凝ってて好印象。

音質としてはJcallyらしさなのか、低音にしっかりと重みがあるドンシャリ傾向。
あまりベントが無いのいうのもあると思いますがドラムのバスドラやベースに結構重さがあります。
サブベースは流石に控えめですがイントラとしては並。

中高音はこれまたJcallyらしさなのか。。。かなりキンとした刺さるサウンド。
でもEP-09に比べるとまだパンチが気持ち弱い分耐えることが出来ます。
ギターサウンドに関しては好きな人には刺さるんだろうなというくらいのチャキチャキ具合。
イントラなのに薄くなりすぎず、ある程度のパンチがあります。
でも女性Voに関してはどうしても厚みが足りなくてちょっと耳が痛くなりがち。

古めのロック・ポップスだと低音の厚みが主張した上で
刺さるような中高音は少し引っ込むのでかなり印象が違いました。
そつなく気持ちよく、千円以下なら十二分すぎるくらい気持ちよく聞ける音。
イントラということもあり音の分離感が良いのですが、現代的な音数の多い曲だと流石にごちゃつくので
シンプルな音楽やロック・ポップスをメインに聴くなら◎。
時折ハイトーンなVoや金管楽器が薄く尖ってしまいますが。

こう聴くとEP-09がアレだけ刺激的だったのは不良ではなくJcallyの特性なのかもしれない。
実はEP-08を購入してあるので、そちらのレビューをそのうち投稿したいと思います。


総評
オススメな人:ちょっとレトロな見た目が好きな方。電子系より古めのロックが好きという人。
個人的好み度:10点満点中/7点
完成度:10点満点中/8点 私が購入した時は700円くらいでしたが今でも900円台。千円以下なら結構アリ



THIEAUDIO Elixir ロマンある新機構1DD

今回ご紹介するのはこちら。THIEAUDIO Elixir。
THIEAUDIOというメーカーは初めてですが、Legacyシリーズがよく目にします。
個人的には1万を超えたらもう高級機なのでおいそれと手が出るメーカーではなかったんですが
Elixirの評判の高さと、偶々出会ってしまったセール価格でつい購入してしまいました。

Elixirの特徴はなんといってもその1DDの中身。
ベリリウムでコーティングされたカーボンナノチューブ膜を複数折り重ね多層にした
3Dベロシティトランスデューサーダイアフラム仕様。
ベリリウムといえばレスポンスの良さ、音の煌めきに期待が出来る仕様。
そしてカーボンナノチューブ(CNT)といえばTRN VX PROにも搭載されているDDにあるような
ソリッドさと弾力性を併せ持つ低音を出す仕様のイメージ。
この2つの仕様が合わさったら一体どんな音になってしまうのか?
定価が約3万円なので見送っていましたが世間の高評価にハードルが上がります。

まずは見た目。
0.78 2pin仕様。
フェイスプレートの独特な模様はバールウッドという木材を使用したもの。
いかにも木だなぁというプレートはよくありますが価格帯に相応しい高級感があって良い。
ボディはアルミ製で軽量。消して小さいボディではありませんが変な凹凸がなくノズルも気持ち短めなので
装着感は割と良好。耳の小さい人だとボディがキツくてという場合はあるかもしれません。銅色のような金属の縁取りといい、全体的に価格相応の高級感がありますが
装着感だけに絞ってみると個人的には1DDならもうちょっとコンパクトにするか形を工夫してほしかった感はあります。

照明の関係でギラついた金色にも見えますが、割と落ち着きのある上品な色合いです。



音質としてはズゥンと重いサブベースを持ちながら解像度の高い中高音をそつなく鳴らす優等生。
このイヤホン、第一印象では中高音が割りとギラついていて「流石ベリリウムコーティングが入ってるだけあるな」と
思ったのですが気合を入れてエージングをしまくった後に聴いたら「あれ?」となってしまったんですよね。

詳しくはこの後。価格なりの完成度を持つイヤホンには違いないです。

低音域に関しては印象は一定していて、サブベースがとにかく重い。
楽曲によっては「そう?」と感じるかもしれません。かなり深い域のサブベースだけが凄い重さを出します。
ライブ音源のバスドラ等は笑いが出るほど重く出ます。
ミドルベースに関しては引き締まった、というより適度な弾力性を保ちつつ出しゃばらない、気持ちのいい量感。
これなら古いロックでも最近のロックでもそつなく楽しく響かせてくれます。

中音域は鳴らし始めこそ女性Voから男性Vo。ギターサウンドまでかなりギラついた響きを伴う音だったのですが
鳴らし込んだ後は男性Voやギターは割りと大人しくなってしまいました。
低音が出しゃばらないので隠れこそしませんが若干地味な鳴り方。
刺さることはなく女性Voはしっかりと伸び、DDの特性か細くならず適度な太さもあります。
ピアノサウンドも綺羅びやかさがありつつもトルク感があり地味になりすぎない。
この辺りがベリリウム+CNTの特性が合体することで得られた特性なのかと思いました。

高音域は全体の中では半歩下がった位置でなっている感じ。
BAで鳴らしているかのような繊細さとDDで鳴らしてるようなパンチ感が両立していて凄く気持ちいい。
1DDだとどうしても良く言えばまとまった、悪く言えば分離感の良くない音のイメージなんですが
Elixirはそういったものとは無縁。低音用のDDと中音域用の小型DDと高音用にBAが2基くらい配置されてるんじゃないの?
というくらい音にそれぞれ分離感がありながら、各音がしっかりと主張し全体はまとまっている。

その結果ロックはもちろんダンス系からポップス、古めのロックまで。
どんな音楽も楽しく聴かせるバランスを保ってくれる優秀なイヤホンです。
ただ、個人的には中音域がエージング後より前のほうが好み。
刺さる直前まで響くような刺激的な音に比べるとどうしても地味に感じます。
お気に入りの赤Blaveryに比べサブベースの重さは比にならない濃厚さですが
総合的にみるとその他の音では優秀さ故、楽しさから半歩引いたようなサウンドだと思いました。
良い意味でも悪い意味でも高級感のある音というか。

個人的に中華イヤホンは元気な音でなんぼ!なところが魅力だと思います、
こういった、地味になりすぎず「これ1本あれば大体いけるよ」というバランスは非常にレアで魅力的。
サブベースだけ凄く濃いめですが、それに埋もれずに繊細さとパンチを絶妙なラインで保った中高音は
一聴の価値アリ。
派手に鳴ってほしいぜ!という方には地味に感じてしまうかも。

eイヤホン等の店頭では試聴機も出ているようなので可能な方は是非。
お気に入りの曲以外でも何曲か試してスペックの高さを感じて欲しい。



総評
オススメな人:高価格帯の1DDを試したい方。中高音に刺激的な音よりもバランスを求める方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/10点 装着感だけだと8~9点ですが音の完成度で補填という感じで。