Geek Wold GK10 一際目を引くハート型 ドライバてんこ盛りで安価なロマンイヤホン

今回ご紹介するのも初めてのメーカー。Geek WoldのGK10。
5000円台でBA1発 DD2発 ピエゾドライバー2発を積んだロマンしか感じないイヤホンです。
届いて包装から取り出した瞬間の姿がコチラ。

「え!?」と声が出ました。 よくあるスリーブの外箱がない。なんというシンプルさ。中身にお金をかけすぎて外装はシンプルになってしまったのでしょう。
裏面も超シンプル。


0.78 2pin仕様。気持ち端子が凹んでいますがほんとに気持ちだけです。個体差?
背面プレートは木で作られており、TRI-Starseaのように個体差があるようです。ガチャ感覚のイヤホンがこんなところにも。
今回はレッドのみだったのでレッドを選びましたがどの色も個性的でカッコイイです。
ただパッケージがシンプルすぎた弊害か、悲しいことにR側の背面は初めから強くこすったような傷ができていました。


ドライバー構成としては低音域に8mmチタンドームDD、中音域に7mmグラフェンDD。残りのBAとピエゾ2発が高音域を担当。
こういった3種以上の組み合わせ自体は今までも経験がないわけではありませんがどのイヤホンも1万~2万程度はするものでした。
それがまさか5000円前後で実現してしまうとは。
背面プレート以外は全てが樹脂。イヤホン同士が触れ合うとカチャカチャと不安になるくらい軽い音がします。
豪勢な中身とハッキリ言って安っぽいボディは一体どんな音なのか?

第一印象としては想像を遥かに超える良い音。
確かに期待はしていました。でも明らかに値段が安すぎるし、ピーキーな音がするんだろうなぁと不安も大きかった。
どっしりと溢れる低音。BAとピエゾドライバーのおかけが、高解像度でしっかりと響く中高音。広めの音場。
お気に入りのTRI-I3に近いどころか、それを超える好みのバランスかもしれない。と衝撃を受けました。
装着感も良好。丸っこくて尖りがないので大きめのイヤーピースのほうが安定感アリ。音漏れは普通ですが遮音性は少し低め。

初めは少しブーミーだった低音ですが50時間ほど鳴らし込み、ケーブルもお気に入りのspacecloudに交換したところどっしりとしたボリュームはそのままに
少し引き締まり落ち着きました。バランス的に重低音が控えめに感じましたが重低音~低音の中間地点のベースが濃いのであまり気にならない。
サカナクションの低域がぶっとく響いてくれます。
ただし、音場が広いということもあって全体の中ではかなりグイっと支配的に響くことがあります。

中音は初めから変わらず、刺さり無しで綺麗に広く響きます。女性Voも男性Voも気持ちいい通り具合です。金属系のホーンもしっかりと主張。
低めなヴォーカルものだと低音域の濃さが主張してしまい、過度に響くかもしれません。
ギターのカッティングやピアノのサウンドに関しては気持ち控えめな響き方。
高音域に関しては良い意味で距離感を感じます。ステージの中では端の方に位置どっていますがしっかりと全体に響くイメージ。

低域がしっかりと濃い目なので、純銀線ケーブル等で調整しても面白いかもしれません。
個人的にはTRI-I3のような「刺さりはないけど高解像度な中高音」がこの価格帯で味わえるとは思ってなかったので少し感動しました。
GK10はそこに低音域をグイっと底上げしたようなバランスで、樹脂ボディではなく金属製のボディであったならどれだけ素晴らしい音になったのかと
想像せざるを得ません。
低音の濃すぎる部分が適度に抑えられ、中高音の響きに金属的な残響感が加われば立派な高級イヤホンクラスの音になるのではないかと。
そうなるとお値段も勿論立派になってしまうんでしょうけど。

同じくらいの価格帯でライバルになると思ったのはKZ ZAXでしょうか。
KZ ZAXは全体的に音が少し細く、痩せて聴こえる部分があったのですがGK10は濃さがしっかりとあって好み。
パッケージ等価格帯なりの質感は色々と及ばないですが。

アマゾンでも取り扱いが始まっています。好みの色の在庫があるうちにゲットしたほうがおすすめです。(現在一色のみ)
私はアリエクで購入しましたが、現在は唯一あったレッドが品切れになりブルーのみが予約注文可能。


総評
オススメな人:多ハイブリッドの大盛りな音が好きな方。濃いめの低音と解像度の高い中高音が同居してほしい方。正直全員にオススメしたい。
個人的好み度:10点満点中/9.5点
完成度:10点満点中/7点(樹脂ボディの安っぽさ、シンプルすぎなパッケージでの減点 音は価格を考えると10点です)




CCZ Coffee Bean DC-1 新たな1DD搭載の安価クラス

 

今回ご紹介するのはCCZという新規メーカーのイヤホン。名の通りコーヒー豆のようなブラウンカラーが特徴。
plumeという高級イヤホンとほぼ同時に出されたのが2000円前後の安価クラスイヤホンです。(plumeも評判が良いので気になりますが今回は予算的にスルーしました)

推しのブラウンカラーも良かったのですが背面の金属メッシュが覗くデザインだと黒のほうがカッコイイなぁと思い黒を選びました。
0.78の2pin仕様で1DDは10mmのデュアル・マグネティック・サーキット・ダイナミックドライバー。
この頃搭載されているDDでよく聞く名称ですね。デュアルマグネティックサーキット。
小さめのDDでも重低音からずっしりとした低音を聴かせてくれる印象があります。何よりコストが低いのかな。

背面は金属メッシュが覗いてますが意外と音漏れはありません。ZAXと同じような、デザインであって機能的なベントではなさそう。


内側には見たこともないイヤーフィンなるパーツが。最近のイヤホンは扁平か思い切り飛び出ているか極端なイメージですが
少しだけ盛り上げた部分をシリコンのような素材で作られています。
見た目は正直ちょっとヘンテコですが使ってみると良い感じ。
普通の樹脂だと痛みを感じてしまう人もいると思いますがソフトなのでまったく痛みはない。でもホールド感は割とある。
ガッツリと耳の穴にホールドするような羽付きのシリコンパーツが着いているイヤホン、最近はあまり見かけない気がしてましたが
それのコンパクト版と見るべきでしょうか。
廉価クラスのイヤホンの中で独自の工夫がみられ、見た目も機能もデザインが優秀で好印象。

肝心の音ですが、他のレビューで見かけた「DQ6のライバル的な立ち位置」という言葉が成程なと思いました。
濃厚で押出のある低音と、埋もれずにしっかりと鳴る中高音。価格的にはDQ6よりドライバ数が少ないこともあり少し安価ですが
おおまかな印象としては非常に似てるイヤホンです。
低音はかなり低いところからも出ていて、人によってはイコライザで下げたくなりそうなボリューム感。
それでいて音場が広いので、圧迫感は言うほど無いんです。低音の包囲網は出来上がってるけど中高音が入るスペースはちゃんと空いてる。
解像度は値段なりですが、この低音は結構クセになる気持ちよさがあります。

中・高音域も低音と一緒に鳴っていると控えめになりますが音自体は割と出てます。ドラムのスネアあたりは少し曇りがありますが。
高音も少し遠目ではありますがマスキングされたような曇り感はあまりない。
DQ6は重低音がかなり深いところから出てくるタイプでしたがDC-1は重低音の量よりミドルベースまでの幅広い低音域の量が特盛。
その為、基本的に低音の量に圧倒されるのですが先程書いたように音場が広めなので、他の音も割としっかりと聴こえるんです。

DQ6に比べれば中高音のパンチ力は劣りますが、あのパンチ力は苦手な人もいると感じていたのでコチラのほうが万人向きかも。
装着感もDQ6はかなりクセがありますしね。



総評
オススメな人:そこそこな重低音、たっぷりな低音に包囲されたい。でも中高音も側にいて欲しいという方。DQ6の方向性は好みだったけど装着感がダメだった方。
個人的好み度:10点満点中/7.5点
完成度:10点満点中/8.5点


NICEHCK Lofty ベリリウム素材を使用したハイエンド機

 

今回ご紹介するイヤホンはNICEHCKが満を持して送り出したハイエンド機 Loftyです。
10.1mmのベリリウム素材を使用したDD1発構成。0.78mm 2pin仕様。
ハイエンドだけあり高級感溢れる質感。せっかくなので独特のローズゴールドを注文しましたがとても綺麗です。
ずっしりと重い金属フルボディ。耳側の凸は程よいしあがりでしっかりと押し込んでも痛みはありません。
背面は少し大きめで、端の方は丸みがありながらも若干尖りがありますが耳には触れないのでここもセーフ。

ベリリウムを使用したドライバの特徴の一つとしては透き通るような独特の中高音があるようで、かなり高評価を得ていたようです。
DD1発で透き通るような中高音だと先日投稿したTinHifiのT5も中々のものでしたがLoftyは価格で言えばそのT5の倍以上。
高まる期待を胸に商品ページに記載された通り、まずは100時間のエージングをこなしました。
一応、エージング前にも試聴程度はしたのですが概ね事前に見かけた感想と同じく
ベリリウムという素材で期待されるような音ではなく、濃厚な低音が支配するこんもりとした音でした。

この時点では「これは失敗したか」という印象でしたがエージングでどれくらい変わったかを含めて音の印象を。

初めに断っておくとこのイヤホン、ケーブルとの相性差がかなりデカイです。
付属品やSpace Cloudで聴いたところ音が濃厚すぎて「あんま変わらないな」と思ったのですが
blue islandに変えたところかなり低音域はスッキリと引き締まりました。
公式が純銀線もオススメするあたり、どんな音を求めるかによってケーブルを選ぶ必要のあるイヤホンです。

以下のレビューはは全て付属ではなくblue islandで試聴した上で書きました。

低音域はボワついていた音から適度に引き締まり、全体を支配するような存在感では無くなりました。
それでも量感はかなりしっかりめ。どっしりとした重低音からミドルベースまでグッと前に出てきます。

中音域は元々このイヤホンの音では一番存在感のある音でしたが、こちらは変わらず。
低音に負けずしっかりと主張するが刺さりとは無縁。パンチがありながらも全体の中心としてちょうどいい響き。
金属の筐体なので残響感が綺麗に響きます。個人的にこの残響感は金属ボディならではなのでたまらないですね。
解像度はそれほど高いというわけではなく、TinHifi T5と同程度ですが、T5の少しクール目な音よりも熱量があります。
左右にバランス良く広めに響くのでギターのカッティング音や男性Voでも楽曲に埋もれず気持ちよく聴けます。

高音域に関しては存在感弱め。エージングとリケーブルをした上でもそこまで大きな変化は見られなかった。
1DDということを考慮しても一般的な1DDイヤホンとそこまで大きな差がありません。
ドラムの金物は若干曇っていて、遠くに聴こえる部分も多い。
このあたりは純銀線等に変えることでまた印象がガラっと変わるのかもしれません。高音好き、特にベリリウムの前評判からLoftyに手を出した人はこのあたりはガッカリしてしまうポイントかもしれません。

総合的には量感多めの低音に埋もれずしっかりと鳴り響く中高音が特徴的なイヤホン。高解像度で高級感のある上品な音ではないが
巨大なフルレンジ1発のスピーカーでドカンと大音量で鳴らしたような楽しさのある音。
エージングやリケーブルをした上でも「これがベリリウムか!」という感動には至りませんでしたが
作りの良さや付属品の豪華さは今まで手にした中でもハイエンドに相応しいものだと感じました。

付属ケースは指輪でも入ってそうな革張りのハードケース。


環境を選ぶというより、自分の環境からいかに好みの音に近づけるかというじゃじゃ馬なイヤホン。

今回の売出し方はメーカーの気合がとても感じられた一方、とにかくエージングを!という主張が目立ち
「それなら初めからエージングしてくれたらいいのに」と思ってましたが実際に今後のロットは出荷前にエージングがされるようで。
今後入手した人は一聴して「思ってたのと違う!」というショックを受ける危機は回避できそうです。


総評
オススメな人:濃厚なベースと伸びとパンチ力のある中高音が両立した音を求める方。リケーブル等の工夫を凝らして遊びたい方。
個人的好み度:10点満点中/8.0点
完成度:10点満点中/今後エージングしてから出荷されるなら10点



TinHifi T5 新素材を使用した10mmDD1発イヤホン

 

今回ご紹介するのはTinHifi T5。
初めて購入したメーカーです。
DD1発でメタルボディのイヤホンが多く、高評価を得ているメーカーという印象ですが主にハイブリッドにハマっていた自分には
あまり縁がありませんでした。
最近は逆にDD1発に魅力を感じているので新作に手を出してみた次第です。

金属ボディでどんぐりのようなまるっとしたデザイン。少し重めですが、樹脂に比べればという程度で負担にはなりません。
耳の形に合うように内側はDQ6やKZ ASTに比べ尖りが少なめ。グッと押し込んでも痛みがまったくなく、穴全体に面でフィットするので
つけ心地はすこぶる良いです。
埋込式の0.78 2pin仕様。少し凸になってるタイプは今までも多く見ましたがここまで凹になっているのは初めて。
手持ちのケーブルでまずはエージングと思ったらまったく刺さらなくて焦りました。
付属ケーブル以外を使う前提で考える方は要注意ですね。

10mmのDDドライバー1発ですが素材はDOCという新開発の素材を使用。
1発でも低音~高音それぞれをしっかりと引き立てた音が出せるらしいです。

音の第一印象としては期待どおりのバランスの良さ。
音場もかなり横に広い印象で中央からずっしりと響く低音に中高音が左右に広く出ます。
低音は重低音がしっかりと出ますが全体をマスクすることはなく、ミドルベースは重低音に比べ少々控えめなバランス。
土台として楽曲全体を支えてくれます。
中音域はパンチのある力強さと伸びがありDDの良さがしっかりと現れている印象。
高音に関しても同じようにレベルの高い音ですが、ドラムの金属系でときたま粒が荒く刺さる直前まで強めに出てくる。

メタルやアイドル系の低音も高音もドタバタとしている楽曲だと熱を上げすぎず、広々と余裕を持って鳴らしてくれますが
古めのロックやポップスだとやや熱量が弱く、スッキリとした爽やかさに少し物足りなさを感じる方もいるかもしれません。
ベースや中音域に太さや熱量のあるハイブリッドイヤホンに比べるとそこの山を削って重低音に割り振り、全体を整え空間を広くしたような音。
一部で高音がきつめに出る部分がありますが、総合的には広々とした空間でリラックスした音を提供してくれる優等生なイメージ。ハイブリッド構成のイヤホンにも負けない音域の広さをDD1発で表現しているのは流石高評価を得ているメーカーだけあると感じました。

総評
オススメな人:ストレスのない装着感、ハイブリッドの熱量よりも全体をスッキリとした見通しの良い音で楽しみたい方。
個人的好み度:10点満点中/8.5点
完成度:10点満点中/9.5点