TRN MT4 2DDなのに安価なパワーイヤホン

 


今回ご紹介するのはコチラ。
TRNからリリースされた10mmと6mm2つのDDを搭載したイヤホン。MT4。
qdc pin端子で、フェイスプレートは薄めの亜鉛合金。樹脂筐体で大きさはコンパクト目。
少しだけ凹凸があり、ノズルも角度が付いてるので装着感は良好。
大体フェイスプレートには大きくモデル名があったり、MT3のように目立つ模様がデザインされてますが
MT4はかなり丸く収まったデザイン。外使いしやすくて良いですね。
ベントは内側に2箇所。小さい方のDDの真上と、もう1個はpin端子付近にあります。
離れた距離で真横に2つ並んであるのは珍しい気がする。
DDは10mmの方がベリリウムコート、6mmは軽量振動板とあるけどおそらく樹脂系。



撮影中、DDのパワーですぐ引っ付く

音質としては10mmのDD1個に低音域を担当させているだけあり
サブベースからどっしりとボリュームのあるドンシャリ。
バスドラムがかなり重く、ベースラインもゴリゴリと前に出てくる。
多少膨らんでくるので全体的にはややウォームな雰囲気。
中音域は少し地味で丸め。
金管楽器は少し遠くに聴こえ、ギターのカッティング等も丸く聴こえます。
男性Voも同じような方向性だけど、女性Voは6mmのDDが仕事をしてくれるので前に出てきます。
高音域に関しては多少シャリついてはいるがパワーのある低音域の圧に負けず、
頑張って主張してくれてる。
おそらく単体なら耳に刺さるくらい刺激的な音を出してそうな音だけども
10mmのDDと組み合わさることでうまいことバランスが取れています。
情報量の多い曲だとちょっと天井の低さを感じるけど、ポップスや古いロックだと
ボリュームのある低音とシャッキリとした高音域が良い感じ。

二千円前後の1DDだと最近は全体的に卒なくこなす優等生なイヤホンが多いイメージでしたが
MT4は2DDもあるのにその価格帯に突っ込まれた少し異端なイヤホン。
音も優等生というよりは「パワーこそ正義」というくらい低音が盛られた個性派。
内側以外ベントはありませんが2DDなせいか少し音場も横に広く感じる。
ウォームな雰囲気ではあるが低音域が全体を包み込んでしまうような音ではないので
極端なバランスは求めてないという人にも安心。
1DDで安価なモデルが多かった中、同じかむしろ安い価格帯に2DDイヤホンをぶっこんでくるあたり
TRNの採算が不安になるレベルですが、結果安価ながらわかりやすいパワーのある強いイヤホンに。

DQ6等と違い装着感も馴染みやすい形状なのでよりお安く、より使いやすくなったおかげで万人におすすめしやすいモデルだと思います。


総評
オススメな人:3000円以下で低音にパワーのあるイヤホンを求めてる方で、高音域も多少パンチが欲しかった方。
個人的好み度:10点満点中/8点
完成度:10点満点中/10点 見た目といいシンプルな出来の良さ。でも音はしっかり中華イヤホンしてる。 

Truthear HOLA 11mmサイズの1DDイヤホン

 

今回ご紹介するのはコチラ。
TruhearのHOLA。このブログで紹介するのは初めてのメーカーです。
美少女系を採用したデザインの箱が流行っている中、(無駄に)質の高いデザインを誇っているという印象が強い。
しかしZEROやHEXA等、どれも評判が良いので信頼のあるメーカーですね。

見覚えのある兎

HOLAは低価格帯に位置するエントリー的な一台。
LCP振動板の11mmDDを採用してますが、詳しく言うとポリウレタン懸濁液コンポジット液晶ドームダイヤフラム。
正直よくわからないけど低価格帯なのに凝った仕様を施されたドライバが使われている!

11mmサイズといえば先日紹介したピッコロですね。発売時期的にはこのHOLAの方が大分先行です。
凹のある0.78 2pin端子で樹脂ボディ。フェイスプレートだけはアルミニウム合金。
筐体は艶消しのような表面加工が施されており滑らないし指紋も目立ちにくい。
フェイスプレートの幾何学模様もシックで良い感じ。
ベントは内側に2個、一つはかなり大きめ。



メッシュが六角形模様という凝り方

かなり軽量な部類で、ノズルの長さは標準的。角度が深めなのでしっかり奥まではめ込めば
ズレにくく快適に使える装着感でした。
RL表記がプリントではなく刻印なのは技術力を感じさせます。普段見えないメッシュデザインにまで細かいこだわりを感じる。

音質としては派手さはないが解像度が高くオールラウンドなサウンド。
サブベースは控えめで、ミドルベースはそれなり。
LCP振動板らしく柔らかめで、ちょっとボワつきは感じるが他を飲み込むほど濃くはない。
中音域はかなり広く感じる。解像度がありつつも刺さるような不快感は一切ないまろやかーな優しい音。
地味というレベルには収まらず、特に女性Vo等は伸びやか。
ダンス系のキラキラした曲だと高音域に関してはもっと欲しいと思うかもしれないが
奥行きのあるステージ感の広い中音域は結構気持ちよく聴かせてくれる。
高音域は他2つの音に比べると1歩後ろで鳴っている感は否めない。
しかしこちらも細やかなタッチを感じ取れる解像度があるので
決して地味な雰囲気ではない。

音楽を集中して聴きたい時用というよりは、ながら聴きにちょうど良い感じ。
1~2千円代で下手に派手なサウンドを求めるよりHOLAの方がバランス良く聴けて好みという人も結構いそう。
中華イヤホンらしいイヤホンとは正反対な性格をしていると思いました。
最近のイヤホンはどれも優等生な方向に来てますけどね。
低価格帯の中でバランスの良さを求めるならHOLAはかなり強い候補になるイヤホンでした。



総評
オススメな人:派手さよりもバランス。解像度高めのほうが良い方。
個人的好み度:10点満点中/7点
完成度:10点満点中/9点

RAPTGO Bridge 2BA+2DD+PZTのトライブリッドイヤホン

 

今回ご紹介するのはコチラ。RAPTGO Bridge。Linsoulリンクはコチラ
0.78 2pin端子で金属ボディ。まずこの見た目が凄く特徴的。
G-SHOCKとかその系統のデザイン。
背面がまるで開放型のようなメッシュですがプレート+フィルター+ブラケットと何重かに重なっている
構造ということもあり、意外とここから音は漏れないです。
商品画像だと緑は結構明るく見えますが実物はもう少し落ち着きがあり渋いです。
内側にはノズルの根元付近にベントが1箇所と。
とんでもなくデカイベントがもう1箇所。目を疑うような大きさ!
先に触れておくとこいつのおかげか音に独特の開放感があって凄く効果を感じました。



角ばっているようで角は面取りしたように丸っこいので装着感は結構良好。
ノズルの角度もしっかり目で、安定感も結構アリ。
とはいえ根本までねじ込むというより、大きめのイヤピで固定される印象。
筐体自体はデザインのゴツさに反してそこまで重くないのでふらつきません。

2DDは10mm+6mm。DDは主に中低域で2BAが高域、12層ピエゾドライバが高域~超高域。
トライブリッドで且つDDは2基もあってモリモリですがこれだけじゃ終わらない。
なんとスイッチギミック付き。更にはフィルター交換ギミックまで。
2種類のチューニング切り替えも付いたてんこ盛りイヤホンです。
極めつけはこのケース。
安いのか高級なのかわからないプラと僅かな金属感が入り乱れる。(裏面はフェイクレザー)
なんというかほんとにG-SHOCKを思い出す。




ケースは結構ずっしりとした重さがあり、内側は柔らかいシリコンゴムで仕切りが付いている。
イヤーピースは勿論、前述のフィルターも無くしにくいよう金属板に収納されている。
金属板裏面にはマグネットが付いており、こっそりとスイッチを切り替えるアレも付いてる。
ポータブルに向いてるか微妙なラインだけど、1個のイヤホンを大切に持ち歩きたい人には悪くない?

標準装備の音質としてはピエゾ+BAのカリカリっとした中高音が主張強めの開放感強めドンシャリ。
低音はサブベースからミドルまでそれなりにボリュームがあります。
しかし内側の巨大ベントが絶大な効果を発揮し、とても濃いのに抜けが良いので暖色感があまり出ない。
先日のカルテットは音導管でうまく締まりを出してましたがBridgeは巨大なベントで開放感を出すことで
絶妙なチューニングを実現。
スイッチギミックの低音パワーをオンにすれば
サブベースはイヤホンらしくブイブイ来るのに、ミドルベース辺りは開放型ヘッドホンのような
濃ゆいのに圧をそこまで感じない爽やかさ。

中高音は低音とはしっかり分離してカリカリ、キンキン目なバランス。
ピエゾドライバとBAの力をいかんなく発揮したクリスプなサウンドですね。
解像度の高さは勿論、男性Voからドラムのスネアあたりの凹みやすい帯域もグイッと出てくる。
ギターのカッティングに関しても同様で、分離感良し、パンチも良し。
中高音域に関してはスイッチオンでもそこまで過度な強調はなく、あくまで更に物足りないならオンでも良いぞ!という印象。
この音域でも内側の巨大ベントの効果は絶大。
イントラコンカ型のような耳の穴いっぱいに広がるヌケの良さ。それでいて軽すぎず。

フィルターに関してはデフォルトの黒はノーマルで、金色は高音域強調。銀色はバランスモード。
それぞれフィルター表面のメッシュ下にまた別素材の黒いメッシュがあり、そちらのメッシュの厚み?というか密度で
高音域の減衰を調整してるような感じ。

個人的にはフィルターはノーマルのままで、スイッチは両方オンがしっくりきた。

ノーマルだと中高音のカリカリさが気になったが低音スイッチを入れることで相対的に
角が取れる印象。高音域側のスイッチも刺激的になるというより線が太く、勢いが出てるように感じた。
両方オンにすることで全域の力強さが増し、刺さるような刺激は半歩下がるので安心して(?)音量を上げて
EDMからロック、メタル、山下達郎を楽しむことが出来る。
フィルターに関してはどうしても高音域の金管楽器やドラムの金属、ギターの刺激音が気になるなら銀色に。
むしろもっと刺激を!と思うなら金色に。元々の刺激が高めなので微調整用に留まるかなと思いました。

暖色系のような厚みのある低音と寒色系の抜けよく刺激的な中高域を高い水準で、
更にはスイッチとフィルターギミックで個人の好みにも合わせやすくしたかなり贅沢なイヤホン。
なのに価格はHBB HOOK-X等よりもお手頃なのは驚き。

音漏れは主に内側とはいえベントの大きさが大きさなので電車内等でも音量は程々にしないと結構漏れると思います。
遮音性は漏れの割に良いです。
HBB HOOK-Xはちょっと装着感で人を選びそうな大きさでしたがBridgeはクセのない装着感なので
耳にしっかりねじ込みたい!とかじゃなければ大概良い感じに収まるはず。

チューニングがハマると改めて手元の音楽を一通り聴き直したくなる魅力的なイヤホンでした。


総評
オススメな人:
個人的好み度:10点満点中/10点
完成度:10点満点中/12点 3.5mmオンリーだけど個人的に無問題。イヤホン単体に加えてケースと付属品もこだわりを感じて好印象。

Kiwi ears QUARTET 2DD+2BAの低音濃いめハイブリッド

今回ご紹介するのはコチラ。

Kiwi earsよりリリースされた2つのスイッチ付きハイブリッドイヤホン、QUARTET(カルテット)。Linsoulのリンクはこちら。
医療用クラスのレジン(樹脂)筐体で、充填されてはいないため比較的軽量。
0.78 2pin端子仕様で、ピン横には2つのスイッチ。見にくいですが小さめのベントもピンの近くにあります。
少々厚みのあるずんぐりな筐体ですがノズルの角度と、程よく凹凸のあるおかげで装着感は良好。
多少耳からはみ出ますが許容範囲。
ノズルはレビューしてきたイヤホンの中では珍しく音導管がノズル部分まで来ているタイプ。
BAユニットがノズルの先端に入って似たような見た目になってることはありましたけど。
比較的高額なイヤホンに見られる構造ですね。




特筆すべきなのは2DDの中身。10mmと他サイズの組み合わせではなく10mmが2基。
どちらもチタンコート仕様という中々に尖った仕様。
直近だとLegatoが12mm+6mmの2DDで低音濃いめのイヤホンでしたが、Legato含め
2DDは大抵 低音域担当+中高音担当というそれぞれ別の役割を当てています。
カルテットはその点、中高音はBA2基に任せて2DDはどちらも低音を担当するという力しか感じない構成。
商品ページでも低音の質を強調していますが、一体どんな音質なのか。

音質の第一印象は非常に濃いが過度にボワつかない、包み込まれるようなサブベースを主としたイヤホン。
2つの大型DDから出されるサブベースは土台を担うどころか左右前後かなり広い空間を包むような存在感。
ミドルベースの量感は相対的に標準的に感じますが、サブベースがとにかく相当に濃いです。
メタルやEDMは勿論ですがジャズでも重さのあるベースラインを響かせてくれる。
音導管の効果なのか、とても力強いベースでありながら中高音とは分離感があり
中高音を飲み込むようなチューニングにはなっていません。
昔レビューしたイヤホンで同じ音導管の構造で低音の強いPink Ladyというイヤホンがありますが、
それを思い出す解像度の高さと濃さを両立した質の高い低音。

中音域は若干凹むように感じますが、実際には均整の取れた割とパンチもある音をしています。
BAらしく解像度高めですが刺さりはゼロで、シルキーというかフラットに感じる。
高音域も同じ印象で、遠すぎず近すぎず。でも解像度はしっかりと保っている。
楽曲によってはシンセサウンドがDDの担当する領域に入ってきてかなり芯のある音を出してきます。
中高音域は商品説明にもありましたが疲労感のない自然なサウンドを体現したバランスですね。
刺激はないが曇ってもいない、フラットなバランスを高いレベルで表現している。

ライブ音源等ではギターの音が極太になってしまって圧がとんでもなくなったり。
でもそんな時はスイッチをいじればレベルを下げることが出来ます。
本来スイッチは好みに合わせて音質調整可能というのが売りになるギミック。
でもカルテットに関しては基本的にどちらもONのままで楽しんで欲しい。そんな音。
低音の濃さと中高音のフラットさを両立した音質は長時間聴いてもまったく聴き疲れしないし、
その上で解像度が高めなので純粋に音楽の細部まで楽しむことも出来る。
日本円で現在約16,000円ですが、十分にその価値がある低音イヤホン。
音楽鑑賞は勿論、映画鑑賞でもかなり面白いイヤホンなので低音好きにはぴったり。
重低音をどっしりと楽しみつつ、アクションシーン等で急に大きいSEや声が出ると
うるさく感じてしまうシーンもカルテットは良い意味で大人しく聴かせてくれます。

個人的には残念ながら2時間ほど使っていると耳がちょっと痛くなってしまいましたが
Yanyin Canonでは問題なかったのでノズルの根本あたりの形がちょっと合ってないのかなと。
ちなみにスイッチを切り替えるためのパーツはおそらく付属していません。
爪楊枝等でもいけなくはないけどまずは開封時の両方オンのままを堪能して欲しい。

上記で少し触れましたがQOA Pink Ladyの低音が好きだったけど、中高音の刺激が強くて合わなかった。
という人がいればカルテットはかなり良い候補になると思います。(見た目もちょっと似てる)
中高音は良いけど低音濃すぎ!と思ったらそこでスイッチ調整も出来ますしね。



総評
オススメな人:重低音メインに楽しみたい方。中高音はなるべくフラットで良いという方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/10点 見た目含めて価格に見合うクラスの重低音イヤホンでした。