TRN TA3 2DD+1BA シンセが気持ちよく聴ける流行りの2DD系統

今回ご紹介するのはコチラ。
TRNより10mm+6mmのDD2発とknowles製BA1基を搭載したハイブリッドイヤホン、TA3。
TAシリーズの最新作です。今回はカラバリが無く黒の1色のみ。
qdc端子で、亜鉛合金のフェイスプレートに半透明スモークの樹脂ボディ。
重厚な見た目をしてますがそこまで重くない。
フェイスプレート側に重さが寄るということもなく、装着感の落ち着きも良い感じ。
ノズルは標準的な長さで角度がキツめですが収まりに問題無し。
ただ、ちょっとでも装着が浅いとスカスカになってしまったので多少耳道の相性はありそう。
耳側に適度な凹凸があるので一度収まれば簡単にはずれません。


TA3に搭載されたDDは10mmの方が低音域担当。二重磁気でベリリウムコート仕様。

6mmの方は中音域担当でチタンコート仕様。その2つに高音域担当としてknowles製BAを積んだ形。
去年は平面駆動が流行りましたが今年は2DD系がトレンドのようですね。
BAや色んなドライバが搭載されたイヤホンも魅力的ですがやっぱり
DDが複数積まれていると「どうなっちゃうんだ」というロマンが強いです。

真ん中もしっかりメタル感あって良い見た目


TA3の第一印象としては抜けの良い中高音とそれに負けずソリッドながら力強い濃さのある低域。
サブベースやミドルベースは締まりがあり並の量感なんですが、その中間あたりの低域が妙に濃ゆい。
EDM等の電子音楽系の低音がかなり気持ちよく聴こえる音。
ロックやポップスよりもスピード感のあるメタルも相性が良いです。
ベリリウムコートに期待できるソリッドさだけでなく、中低域あたりの旨味をちょっと強めに押し出している。
ダッチトランスなどのシンセサイザーの音が濃くてかつ明瞭に伸びるので文字通りトランスします。
ピアノトリオ系の楽曲でいうと、TA3は中高域の広がりと解像度も中々あるので気持ちよくピアノを楽しめるんですが
ウッドベースやドラムの中低音も締まるがあるのに全面にグイっと出てくるので
かなり迫力のあるサウンドに仕上がります。

中高音域はピアノ、アコギ、は勿論、金管楽器やドラムの金物は気持ち鋭いくらいにビシっと主張。
ただしBAが張り切ったようなギラついた音ではなく6mmチタンコートDDの力を発揮させた
少々硬めでパンチがありながら、余韻も程よく残した音。
時折ピアノだと残響感がちょっと強いが、電子系の音だと伸びの気持ちよさがピカイチ。
電波系の曲や元々キンキンとした曲の旨味を最大限に引き出してくれる音だと思います。
キャーキャーした感じの女性Voが時折刺さるけども、
基本的に超高音あたりの刺さるような不快感はうまく抑えられた印象。

TAシリーズの中では最新ということもあり価格も一番高級ですが
付属ケーブルは2.5mm~4.4mmまで対応したモジュラーケーブルですし、
同価格~ちょっと上位帯のハイブリッドイヤホンに比べると「何でもイケる優等生」ではありませんが
主に中高音の元気さに特化した特徴的な音なので
楽曲により妙にあっさりとしてしまうこともあるが、ハマれば値段以上の価値はある音。
記事掲載時点で行われているアリエクの周年セールだとかなりお安くなります。
今回はLuckLZ Audio Storeさんのツイッターキャンペーンで当選したのでそちらのリンクも貼ってあります。
アリエク利用者の方は是非。

総評
オススメな人:EDM、トランス等電子系の音楽が好きで低音よりも中高音にグイグイ来て欲しい人。
個人的好み度:10点満点中/10点
完成度:10点満点中/10点 ベリリウム+チタンというハードめなコーティングの影響か、エージングは時間かけたほうが良いかも。


SIMGOT EA500 上位モデルの技術を落とし込んだ凄いヤツ

今回ご紹介するのはコチラ。
SIMGOTというメーカーの1DDイヤホン。EA500。Linsoul販売ページはコチラ
このメーカーはブログ関係なく初めて手にするイヤホン。
amazonでもタイムセールでちょこちょこ見かけるメーカーですね。
お手頃価格の多い中華イヤホンの中でもSIMGOTは少しお高めなイメージのあるブランドです。

EA500はamazonで現在11000円程で売られており、ブランドの中ではエントリーモデルの位置。
EA2000という上位モデルが先に存在するんですが、そちらの技術をエントリー価格の本機に応用したという
エントリーながらロマン臭が溢れたイヤホンになっています。



0.78 2pin端子で僅かに凹んだタイプ。ノズルを含め全金属ボディで見た目通りズッシリとした重さがあります。
フェイスプレートに描かれたロゴは商品写真だとかなり目立ちそうですが、実物は光の反射で見えにくくなる程度に
さり気ないものになっています。
ベントは2箇所。どちらも少し大きめなタイプ。内側が独特の形状をしており、一見ノズルの角度がきつそうに見えるんですが
盛り上がった段差分、意外と装着感は馴染み良い。
かなり重量があるにも関わらず、この形状のおかげでビタっとホールドされるので
ケーブルに引かれてズレたり、VCしながらでもズレが少ないタイプでした。意外。

10mm1DD一発構成ですが、デュアル磁気回路・デュアルチャンバードライバーユニットを搭載し
振動板には4世代DLC(ダイヤモンドライクカーボン)という3種類の素材を使用した複合振動板を採用。

更にはこのイヤホン、ノズルが交換可能。
通常装着されているタイプはバランス型で、赤いリングが特徴。
交換用の黒いリングverは中高域にフォーカスしたタイプ。

主に標準装着である赤ノズルでのレビューになります。

音の第一印象としては非常に分離感がよく、DDにありがちな不快音(ピーク)が感じられない
スッキリとした弱ドンシャリ。
サブベースは少々控えめですが最低限の量感はある。ミドルベースはソリッドですが艶も多少あり、
寒色系な印象ながらアナログな曲でもそつなくこなすオールレンジな量感を常に保っている。
ライブ音源のドラムなんかだとフロアタムが結構心地よく響きます。

中音域はとても澄んでおり伸びが良い、金属筐体ということもあり結構硬質な響きではあるけど
それが硬すぎず、かといって不快な刺激がない。1DDでここまで繊細さと迫力を両立させているのは驚きでした。
ギターのカッティングやドラムのスネア~金属類、ホーン楽器、ピアノ。どれもが
粒立ち、奥行きをしっかり感じることが出来、それぞれがどこから鳴っているのか想像しやすい。
イヤホンですがヘッドホンのような空間表現に近く感じました。

高音域は印象強い中音域に負けず心地よい伸びがあり、繊細さも十分。
曲によって少し遠く感じますが、通常の赤ノズルで物足りない方は黒ノズルに変えるとこの辺りが
特に強調される為気にいると思います。


EA500は今まで聴いてきた1DDイヤホンと比べ、広がりが段違い。
どこで何が鳴っているのか、空間表現がわかりやすく感じました。
原音に忠実というほどフラットに鳴らしてる音ではありませんが、
様々な音を聴き取りやすいという点で非常にモニターライク。
低音域もバランスとしてしっかりと出ているので、ヴンヴンと来てくれないと困る!なんて人じゃなければ
十分満足できる量感だと思います。
1DDで最近気に入ったのはOuranosですが、ナチュラルさや柔らかさ重視ならOuranos。
反対に硬質な雰囲気を好むならEA500がオススメです。
正直この2個あれば満足かも...というくらいには満足感を味あわせてくれるヤツです。
数千円でコスパの良いイヤホンは溢れてますが1万以上出して1DDを探すなら
EA500は非常に硬い選択肢になると思いました。1万以上っていってもほぼ1万。


総評
オススメな人:1DDで硬質なサウンド&バランスの良いドンシャリ好きな方。金属筐体が好きな方。
個人的好み度:10点満点中/10点
完成度:10点満点中/10点 鏡面仕上げで指紋が目立つし薄い傷も付きやすいかもしれないけど、それも金属の良さ。 

 

RAPTGO×HBB HOOK-X 14.2mm平面駆動+ピエゾの半開放ハイブリッドイヤホン

 

今回ご紹介するのはコチラ。
RAPTGOというブランドメーカーからリリースされたHOOK-Xというイヤホンのhbbチューニングコラボモデル。
通称hbb HOOK-X。
昨年から平面1発のイヤホンがどんどんリリースされていますが平面とのハイブリッドイヤホンも
増えてきています。昨今だと平面+BAという組み合わせも目立ちますね。
hbb HOOK-Xは私のブログで言うと過去BQEYZ spring等に搭載されていたピエゾドライバを搭載しています。
平面駆動ドライバの特徴というと中高音域に独特の繊細さのイメージですがhbb HOOK-Xは
ピエゾドライバを追加することで高音~超高音域までを強化。
と言うのは本来ノーマルのHOOK-Xだと思うんですが、こちらはhbb氏によるチューニングモデルなので
また違った雰囲気になっているようです。(比較レビュー予定はいまのところなし)
平面駆動1発のモデルだとkirinのような良い意味で乱暴なモデルやS12のように全域に力のある優等生なモデルもありますが
hbb HOOK-Xはピエゾとの組み合わせで一体どんなパワーの持ち主になっているのか。

0.78 2pin仕様で軽量ですが金属製のボディ。シンプルな色味の中でフェイスプレートの青い縁取りがキラっと目立つ。
ベントが内側に2箇所ありますが、何と言っても特徴はフェイスプレートのメッシュ状に穴が空いたデザイン。
KZのイヤホンでも大胆にメッシュが覗けるデザインはありましたがこちらは全面メッシュです。
この黒いメッシュの下にも金属製メッシュがあるので、そこまで漏れるわけじゃないですが
半開放型なので公共の、特に室内では気をつけたい程度に漏れます。
凹凸のないスリムなデザインですが本体サイズがある程度大きめ。
私は特に問題ありませんが大きくて収まりが悪い~という人もいそうなサイズ感。
ノズルは標準的な長さで角度がある程度ついてるのでイヤピとの相性関係なく
意外とズレにくい印象でした。


音質としては半開放型らしくステージの広いドンシャリ。
サブベースは出てますが量的には並~ちょい盛りでそこまで重くありません。
グラフでも確認したんですがサブベースよりちょっと上のベースが一番盛られてる。
ミドルベースから中音域までの低域が基本的に厚く、ベースラインが聴き取りやすいのは勿論ですが
ドラムのスネアからタムまで、どれも濃さがしっかりとあり気持ち良い。
サブベースがもっと盛られていたら下品な領域だったと思いますが、濃いけど上品というバランスを保っています。

中高音は刺激的でこそありませんが十分な解像度と抜けがあり、Voに関しては気持ち凹んでるけど
女性Voで高めの方だとピエゾの影響でむしろ抜き出る所も。
ドラムも金物に関しては硬さのある少々刺激的な音が出る。
金管楽器は基本的に抜けよし。こちらも硬めの音。
S12だと繊細で抜けよく聴こえても硬いという印象はあまりなかったんですが、
hbb HOOK-Xはピエゾドライバーの力をしっかりと活かしたチューニングをしてるようですね。
耳が痛くなるなんてことはないけど、基本的に高音域の音がハードです。
金属筐体ということもありヘタな寒色系イヤホンより刺激的。
でも低音域全体~中音域にかけての厚みがあるおかげで総合的には気持ちウォーム寄り。

基本的にメタルからロックから電子系まで楽しく聞ける音だと思います。
ドンシャリ好きだけど、中音域の厚みもしっかりと欲しい。
でも高音域はシャリシャリというよりカリカリ目になっててほしい!という
欲求には非常にマッチしたチューニング。
何より半開放型ということで全てにおいて籠もりがなく抜けよく気持ち良い。
ライブ音源等は特に素晴らしい。
広い鳴りと、高音域が時折耳に痛い寸前くらいまでカリっとくるのが実際のライブ会場っぽさを味あわせてくれる。
もう少し低音減らして、中音域もっと欲しいと思ったらノーマル版HOOK-Xが良いのかも。


総評
オススメな人:半開放型のイヤホンで低音域の厚みを求めていた方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/10点 



BLON B50 50mmドライバ搭載 金属な密閉型ヘッドホン

 

今回ご紹介するのはコチラ。BLON B50。Linsoulのリンクはコチラ
個人的にかなり久々のオーバーイヤーヘッドホン。

50mmのコンポジットダイヤフラムを搭載。
CNCアルミニウムとスチールバンドと堅牢な金属メインのデザイン。
重さは手持ちの秤で計った感じだと約440g。
32Ωの低インピーダンスで感度高めなので駆動し易いという意味でモバイルに適しているという
商品ページの触れこみとは対象的なヘヴィーさ。
折りたたみ機構があるわけでもないので持ち出しやすいかと言われたらNo。

重めだけど装着感は非常に良好。
イヤーパッドはしっかりと厚みのあるタイプで、肌に触れる面はフラット。
内径は結構余裕があり、私の耳は結構内側のパーツに触れてしまうことが多いのですが
B50全く触れない程度に広いです。
密閉型ということもあり装着するだけでかなり環境音が聞こえにくくなります。
音漏れも上部にベンドが3つありますが余程音量をあげない限り気にならない。
恐らく合皮であろう柔らかく幅の広いバンドがあるおかげで重量感もさほど感じません。

内部にL,R表記がありわかりやすい
今まで使ったヘッドホンはベイヤーダイナミックのようなバンドがどっしりと頭に乗っかる感覚のある
ものばかりだったのでB50のふわっとした装着感は中々アリ。
でも400g超えの重さなので1時間くらい経つと何か首が凝る感覚出てきますね。

付属ケーブルは1.5mの嬉しいちょい長。L字型プラグというのがポータブルを意識してますね。
布皮膜なので多少はタッチノイズがあります。
リケーブル可能ですがヘッドホン側は左右に分かれてますので注意。

音質としては密閉なのに空間に余裕のある、低音よりも中高音が主役の音。
サブベースがボリュームこそ控えめですが底の方でしっかりと存在感があり、ミドルベースはやや細い音。
中高音がかなり軽やかで、ポップス等の曲だと全体的にスカスカっぽくなってしまう印象。
しかし解像度は中々良好で、イヤホンにも負けず細かなニュアンスを伝えてくれる。
ドラムの金属系がややシャリつくが刺さることはないので許容範囲でした。

サブベース以外音の線が細めなのでスタジオ音源のようなキッチリマスタリングされた音よりも
ライブ音源の方がかなり楽しく聴ける音。
空間の広さとサブベースのどっしりとした厚み、中高音の軽やかさがライブ音源だとバッチリ。
イヤホンで感じやすい低音の暴力感こそありませんが長時間楽しんで聴きやすい優しいバランス。没入感よりも適度な距離感を維持する感じ。

個人的には密閉型にしては少し全体的に軽くドライな音だなーと思い若干肩透かしでしたが
装着感の良さと見た目の格好良さで1万円台としてはまぁまぁアリなヘッドホンだと思いました。
周囲の音をシャットダウンしたい、音漏れは極力避けたい。という理由で密閉型が良いけど
音がモッコリとして分厚いのは好きじゃない!という人がいればかなりハマり役じゃないでしょうか。


個人的好み度:10点満点中/7点
完成度:10点満点中/8点 バンドの調整部にある溝が妙に汚れてたのが気になる。。。