HarmonicDyne Black Hole 50mmドライバを搭載した半開放型低音盛りヘッドホン

 

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HarmonicDyneというブランドのヘッドホン。Black Hole。
かなり久しぶりのヘッドホンレビューです。【PR】
初めてのブランドでかつヘッドホンなのですが、同じドライバを搭載したヘッドホンとして
Athenaというものもあり、そちらは約2万3千円でこのBlack Holeは約1万5千円。
手頃な値段に落とし込んだ廉価版的な立ち位置なんでしょうか。


左右出しのケーブルで、付属ケーブルはナイロン被膜で非常に細くしなやか。
1.5mとこの手のケーブルとしては気持ち短め。
ハウジングは航空グレードのアルミ合金。そこ以外はバントの天頂部含め大体プラスチックですね。
ダマスカス鋼のような模様のプレート部分は金属製。
重さが約305g。装着感が優しく、イヤーパッドもバンド内側も非常に柔らかいクッションがあるので
然程重く感じない。ただ頭の大きい私でも真上を向いたりするとずり落ちてくるので小顔な人だと結構ズレやすいかも。




イヤーパッド表面と頭部クッションの表面はベルベット、ベロアのような目の細かい柔らかめの布地です。
パッドの内側には細かい穴もあいており、通気性に一役買っている感じ。
50mmメタルセラミック複合素材を使用したドライバを搭載しているだけありハウジング内部は余裕の広さ。
ヘッドホンで一番重要なのは装着感だと個人的に思っています。
耳がハウジング内のクッションに常に当たったりすると凄く気になる...。
Black Holeはまったく当たることなく快適に使用できます。
左右それぞれに7箇所の大きく肉抜きされたようにベントが空いています。
ここから盛大に音が漏れる半開放型。

音質としてはとっても濃ゆい低音域が主役、でも中高音もちゃんと伸びてくるドンシャリ。
今まで使ってきたヘッドホンの中では一番低音が濃い。
サブベースは勿論ミドルベース、中音域の男性Voやドラムのタムも含めて全体的に濃い。
ヘッドホンという構造もあり文字通り低音に包みこまれるような心地よい低音域。
半開放という構造が聴いているのか、音の太さと柔らかさが強い割には余韻がしつこくなく、他の音を阻害しません。
中音域も前述の通り基本的には濃いんですがピアノサウンドや女性Vo、ギターサウンドがその濃さに飲み込まれ凹むわけではありません。
解像度はちょっと低めで丸いけど主張はしっかりあるタイプ。
高音域は存在感が少し薄目ですが最低限の主張はある。
全体的にウォームな傾向ではあるけど中高音の存在感も並にあるのが良い感じ。
ぱりっと高解像度の抜け良い中高音を求める人でなければヘッドホンということもあり割と満足出来る範囲だと思う。

自分が今までに使ったことあるヘッドホンだとミドルベースがそれなりに濃ゆいのはあったけど
ここまでサブベースからどっしりとした重さのある低音域を持つヘッドホンを聴いたのは初めて。
無論ヘッドホン歴なんて6,7個しか無いので比較対象が少ないというのはある。
半開放型でハウジングの大きさも相まって音の広さが気持ち良さに拍車をかける。
デザインも大人しすぎず軽くなく、外でも使いやすいオシャレなデザイン。

強いて言えば付属ケーブルがちょっと細くて頼りないのと、ポータブル用途ではないのでケースが無いところが惜しい。
素材感からしてカバンに放り込んで雑に使ってたらある時ベッキリいってしまったとなりかねない。
音楽は勿論ですがゲーム、映画にも抜群の相性だと思います。
細かな音やニュアンスを聴き取れるのがイヤホンの主に強い点だと思いますが、迫力メインにするなら
これ程心強いヘッドホンは無い気がする。




総評
オススメな人:低音つよつよヘッドホンが欲しかった方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/9点 バンドあたりは合皮で包みこんでくれたほうが安心感ある

Kiwi Ears Forteza 2DD+1BA DDを重ねちゃった凄いヤツ

 

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Kiwi earsよりリリースされた2つのサイズが異なるDDとBA1基を搭載したハイブリッドイヤホン。Forteza。
まず最初にDDのサイズですが、商品ページによって2個とも10mmサイズと表記されてます。
Kiwi Ears公式も確認しましたが10mm+6mmの異なるサイズのDDが正しいようです。
実物がFP以外、とてもクリアな樹脂ボディなので確認したんですが見た目は同じサイズに見えてしまいますね。

連なるDDの存在感
0.78 2pin端子で、2色のラメで彩られたFPが特徴的。青、紫、黒の3色展開ですがどれも非常にまとまりのある色合いで、ど派手すぎず地味すぎず良いライン。

ノズルは高級機のように導管が直に伸びできているタイプ。
根本からぐにょりと伸びたノズルですが、ノズル自体はほぼ真っすぐでシンプルな装着感。
大きなDDをとんでもない角度で格納しているので本体サイズは気持ち厚め。
深めのイヤーフィンがあるのでホールド感が強く、ノズルがシンプルに伸びていることもあり遮音性が高いです。
ベントはpin側の1箇所、少し大きい、金属カバーの付いているタイプ。


音質としてはDDを重ねて配置したことで非常に重みのあるサブベースの存在感が圧倒的なドンシャリ。

かなり深いところからのサブベースはダンスミュージックをはじめサブウーファーが活躍するような低音域が含まれる楽曲だと
気持ち良さが凄いです。続けて聴きすぎると低音酔いするかもしれない。
ミドルベースはサブベースに比べ一般的な量感。ベース特盛イヤホンかと思いきやロック系の音楽だと案外まともというか
そこそこの量感でしか仕事をしません。
ミドルベースばかり強いイヤホンだと曲によって嫌になるくらいバランスが崩壊しますがその点Fortezaは綺麗に纏まっている面も感じられました。

中高音は粗さこそありますがまぁまぁ伸びてくれる。
男性Vo等は少々凹んでしまうこともあるが、女性Vo等の高めの音域ならベースの量感に負けないくらい存在感が出ます。
音場が標準~少し狭めでサブベースの存在感が強いので中音域の凹みが楽曲によってはかなり目立つ。
重ねたDDからの太さのある音と比べ、BA1基な分どうしても薄さが目立つこともあるが楽しく聴くという意味ではアリなバランス。

モニターライクに聴きたいとか、ナチュラルさを求める人には向かないけど
とにかく楽しく聴くことに重きをおいたパワー系の仕上がりです。
個人的には見た目の良さと程よい遮音性の高さも相まって外使いに向いてると思いました。
Kiwi Earsは見た目含めイヤホンごとの突出した魅力がわかりやすく備わっていて強いですね。

総評
オススメな人:見た目に惚れた方。サブベースはいくらあっても良い方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/10点

ZiiGaat Nuo LCPダイナミックドライバー1発のシンプルに強いヤツ

 

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以前紹介したCinnoは1DD+4BAのハイブリッドでしたが、そのBA無し版のような仕様。
1DDオンリーのイヤホン Nuoです。

pinは同じく0.78 2pin端子。
本体は樹脂オンリーだったCinnoに比べフェイスプレートが薄目の合金プレート。
表面の仕上げもマットで、縁取りされたような絶妙な丸み。
何故かCinnoよりも高級感すらあります。




僅かにざらついた塗装


ベントはpin側と内側に1箇所ずつ。
ノズルは金属製。長さはちょい短め。
Cinnoに比べると1DDですが筐体は大きめ。
僅かですがイヤーフィンのような凸がついており、収まりは良好。
ただノズル角度がかなり深めについており、個人的には痛みこそ出ないが喋りながら使っていると
急に大きくズレることが何度かありました。
ノズル本体と根本の盛り上がりがストレートなタイプで角度が深いとかなり装着時に抵抗感があるので
そういうのが苦手な方は注意。

Nuoに使用されているLCP(リキッドクリスタルポリマー)振動板採用のDDは
低音から高音域まで、パンチこそ並だが割と満遍なく「このくらいで良いんだよ」という音質。
音場は並で、音に少し奥行きがある。
解像度も並程度だけど分離感がそこそこに良い。

サブベースはしっかりとした重さがあり、ミドルベースはサブベースに比べるとやや軽いがどちらも量感は出しゃばらず並~気持ち控えめ。
中高音域は分離感がよくドラム、ギター、Vo、金管楽器全体がごちゃまぜにならず聴き取りやすい。
解像度自体は1DDらしく特別高い感じはしない。
TKZKのOuranosに近いバランス。
Ouranosの方はCNTで低音にもうちょっと主張があるがLCPのNuoはそこが少し落ち着いていてよりフラットに近い。
全体として落ち着いてはいるけど分離感がよく、音楽を気持ち良く聴く用というよりは普段使いに最適な印象。
ゲームや音楽鑑賞にも聴き疲れしにくいです。


デスクトップでヘッドホンアンプを使う環境だと上記のような感想だけど
TRN BT30で使う場合に関しては若干音が腰高になる傾向。
中音域のトルクが弱くクランチ傾向の強い音になる。
マットブラックなプレートがBT30はじめBTモジュールと見た目の相性が抜群なので
KZ AZ20とか手に入れたらレビュー追記したいですね。




総評
オススメな人:1DDでシンプルな音が好みな方。
個人的好み度:10点満点中/8点(音は外使いに案外良い感じ 装着感が少し難しい)
完成度:10点満点中/9点 Cinnoよりデザイン含めコチラのほうがまとまってるかも

LETSHUOER S15 14.8mm平面駆動ドライバ+新技術モジュールのハイテク機

 

今回ご紹介するのはコチラ。(Amazonリンク)(メーカー公式
LETSHUOERよりリリースされたS12シリーズの最新作にしてハイグレードモデル。S15
ドライバサイズ自体は同じですがS15は6mmのPRM(パッシブフィルターモジュール)も搭載。
詳細はLETSHUOERより参考に頂いた資料を貼らせていただきます。


私のブログだとSIMGOTのEA2000等、パッシブラジエーターを搭載したイヤホンは今までにもありました。
通常パッシブラジエーターは他のユニットの力を増幅するような形で、低音を増強するような機構。
S15に搭載された特許技術であるPFM「R-Sonic」は全く別物らしい。

まずR-Sonicは外耳道の圧力を調整し最適化することを可能としたこと。
通常の低音増強としての機能だけでなく、音圧が強い時は圧を調整することでより快適なリスニング環境を維持するというもの。

そこに加えて2つの音導管によるフィルタークロスオーバー。
巨大な平面駆動ドライバとPFMそれぞれに独立させることで余計な歪を発生させません。



商品ページによってメッシュが別物だけど、これが仕様

本体は0.78 2pin端子。これまでの全金属筐体から打って変わってつや消しでマットな質感の樹脂になりました。
手に馴染みやすく、肌に優しい医療グレードの素材でもあります。
フェイスプレートはアルミ合金系のもの。商品ページにデカデカと表示されるロゴのように3つの刃のような模様があります。
ベントは内側に2つ並んだ小さいものと、pin側上面側にもう1箇所。
ドライバサイズは共通でも新しいモジュールが追加された分、本体サイズはS12シリーズに比べ少々大柄。
ノズルも少し長くなりました。そして根本から結構太めに。
装着感自体は今まで程ではないにしろちょうどスッポリと収まり快適。
なだらかな形状で固定感は弱いため私の場合、喋りながら使っていると急にズレて緩くなることはありました。

音質としては従来のシリーズより重低音に独特深みと広がりを出しつつ、平面駆動の良さも十分に残したサウンド。

サブベースからミドルベースまで解像度が高めで、PFM+樹脂製となった筐体の影響もあってか深みもかなり感じる。
重さだけでなく広がりもあるので低音好きには一度体験してほしい。
独自技術の強みか、これだけ強い低音域があるにも関わらずゴリゴリと押し出して他を阻害するようなだらしなさはありません。
パッシブラジエーター搭載ならもっとえげつないベースがくると期待する方もいるかもしれませんが
暴力的な低音域ではない。
この辺り実にスマートというか、主張が強いけど過度に主張しない不思議なラインを行き来してるような感じ。
間違いなく今までのイヤホンでは味わえない独特の量感。(個人談

中高音域は平面駆動らしく解像度が高く滑らかなサウンド。
Voからギターサウンドは分離感よくキッチリとパンチもあって気持ち良い伸びがある。
S12シリーズよりも包み込むような音の近さと広さがあってLIVE音源は勿論
スタジオ音源でもライブで聴いてるかのようなダイナミック感。
高音域の残響感がシリーズの中では弱いため一聴すると「低音重視で他は少々フラット気味」に聴こえるかもしれないが
中音域の主張の強さはそこまで落ちていない。
公式も上流のパワーとエージングは必要だという見解があるようなので環境による違いは大きくなると思う。
経験上平面駆動ドライバは少し鳴らし込んでからじゃないと箱出しは少々雑に鳴ってる印象。



ギターサウンドの分離感、ドラムのスネアのヌケ、金管楽器の刺さる直前までくるよう伸びは平面駆動らしく揃ってます。
低音域の独特な強さが一番の主張というか、強みであると思うので
単純にS12に低音の強くなったバージョン、Z12の進化系とは考えずにまた別物として聴いたほうが良いです。

私自身最初はS12シリーズと比べすぎてちょっと大人しいか? 
これに今までの倍以上の価格は流石に特許技術使用とはいえ高いのでは?と思いました。
総合的には聴き込んでると「この曲めっちゃ気持ちいいな」と思える発見が多くて面白いイヤホンでした。
明瞭感においては一歩譲りますが独特の存在感を持つ低音域と近くて広いダイナミックな中音域はかなり聴いてて楽しいです。

そこそこの価格帯ですが、特許技術を使用した独自の魅力があるイヤホンなので是非。
国内で試聴出来る店舗もあるのも強み。



総評
オススメな人:低音域重視の方。S12シリーズの雰囲気は好きだけど刺激強くて長時間は疲れると思った方。
個人的好み度:10点満点中/9.5点
完成度:10点満点中/9点(スコシダケ 価格ガネ)