KiiBOOM Allure あのイヤホンとそっくりな新鋭1DD

 

今回ご紹介するのはこちら。
KiiBOOMというメーカーから発売されたベリリウムを含む複合コーティング振動板を採用した
1DDイヤホン、Allure。
現状、アマゾンでの取り扱いがないメーカーなのでAllure公式販売ページを貼っておきます。
このメーカーはHPを見てもわかる通り、オーディオメーカーというよりガジェット系。
派手で個性的なキーボード、キーキャップが目に付きますが今回紹介するAllureとEvokeというイヤホンがあります。
Evokeの方は1DD+2BAのハイブリッドイヤホンですが、こちらは次回紹介予定。

Allureは私のブログだと特に「割と最近見たぞ」と思うフォルムをしていますね。
0.78 2pin仕様でアルミ合金ボディの軽量ボディ。
商品ページで特に触れられてないように見えますが個体差のある木製チックなフェイスプレート。
少し太めに縁取られた金属製の枠。
Elixirにそっくりだ。。。 形も素材も。

付属ケーブルは埋め込み2pinですが本体はフラット
1DDでベリリウムコーティングのみかと思いきやDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)ポリマー振動板と
幾重にも複合された特殊振動板。この説明まで近いですね。
ElixirはDLCではなくCNT(カーボン・ナノ・チューブ)でした。
不思議な共通点がある別メーカーの製品というのは良くあること。

装着感もまったく同じで、1DDにしては気持ち大きめな筐体ですが非常に軽量で
ノズルも気持ち短い為収まりは良いです。ボディが大きめなのが苦手な人だと圧迫感はあるかも。

音質としては全体的に引き締まりのあるタイトなドンシャリ。

重低音はしっかりと重めに鳴りますがボワついた広がりはなく、存在感を過度に感じません。
DDよりも最近の平面にあるような、底でしっかり支えるようなどっしりと構えた音。
低音の旨味はしっかりと引き出した上で出しゃばらないサウンドはこれまで聴いた
ベリリウムコーティングのサウンドとは少し異なる印象を受けました。
ミドルベースあたりの引き締まり方は非常に似ていますがサブベースが
更に引き締まったように聴こえます。DLCとの組み合わせの効果でしょうか。

中高音は特にタイトさが印象的な、ベリリウムらしい明るさとパンチ力を持っています。
Jcallyのイントラコンカ型イヤホンで感じていたあの元気さです。
ヴォーカルのサ行やドラムのスネア、ギターのカッティングやホーンが刺さる直前~ちょっと刺さるくらいの音。
しかし不快感のあるパンチではない。解像度が高いというわけでもないが
気持ちの良い明るさ。中音域だけステージ感も妙に広く聴こえます。
古い、30センチくらいのユニットを積んだスピーカーのような太さというか、力強さ。
ハイブリッド等では味わうことが出来ない、1DDの旨味をこれでもかと引き出した音。
高音域は中音域に比べると多少柔らかめで、刺さりは感じない。
金属筐体ということもあって残響感に多少硬さがある程度。

あまりにもそっくりなのでどうしてもElixirと比べてしまいますが、正直
Elixirの半分以下の価格でかなり完成度は高めに感じました。
比べると解像度や分離感こそ劣ってるものの、全体的に引き締まって1DDらしさのあるパンチと
ベリリウムコーティングが活きた明るさは気に入りました。
Elixirは聴き始めこそAllureのような刺さる直前まで響くような刺激的な音でしたが
鳴らし込んでるうちに地味に丸くまとまってしまったんですよね。
その点Allureは聴き始めからほぼ印象が変わらず、元気いっぱいな刺激で溢れています。
ギターやホーンが元気な楽曲も良いけど、ドラムソロを聴くと楽しい。
締まりのあるバスドラやタム、パンチのあるスネアがドッコンドッコン響く。

最近だとKiwi Ears Cadenzaも良いベリリウム系サウンドでしたが、アレから優しさを取っ払ったら
こんな音になると思います。
Jcallyで体が硬直するような痛い音を味わってきた自分としては
「これだよ!ベリリウムで想像してた音は!」という嬉しい出会いのあるイヤホンでした。

ケースがやたらと大きい。何故かチャックは止水風仕様。



総評
オススメな人:ベリリウム系のサウンドでパンチ力を一番に重視する方。引き締まったタイトな音が好みな方。
個人的好み度:10点満点中/9.5点
完成度:10点満点中/10点(amazonで早く取り扱って欲しいと思える良いイヤホン。)








2022年Amazonで買って良かったモノまとめ

amazon限定で見るの良いなぁと思ってアイディアをパクってきました。
オーディオ系が少ないですが年末年始の買い物で気になるものが見つかれば幸いです。

今年の更新は明日が最後。みなさん良いお年を。

 

1、寄生獣(電子版) 昔読んだきりで電子版無かったので購入したヤツ。またポイント還元やってるみたいですね。タイトル回収がグサッとくる。  

2、JISULIFE-ネックファン-  良いぞ。

 

 3、Anker PowerWave 10 Stand ワイヤレス充電器 ケーブル抜き刺しが煩わしくて試しに買ったらコレ無しじゃ生きれない体になってしまった。  

4、goBelt C1  ワイヤレス充電する為にリング交換したヤツ。出し入れは慣れるし、すぐ壊れそうだなと思ったのに半年たった今でも健在です。  

5、リーボック トレーニングマット 薄っぺらいのを重ねて使ってたのが馬鹿らしくなるくらい最高の使い心地。10mmを買ったけどギリ寝れるくらい心地いい。音や振動も結構マシになります。

 

6、Fire TV Stick 4K MAX 今年はABEMAでワールドカップも見たり、Youtube以外でも活躍しました。無印のMAXは旅行持ち出し用に。

  

 7,EarFun UBOOM L 据え置きのBluetootuスピーカーはこれ1個で良いや。と他を処分したレベル。すぐにカラバリ出るよなと思ったら出ない!  

8、シャープ PJ-N2DS-W サーキュレーターと扇風機を1個にまとめたくて購入。操作性は最悪ですが機能は良い。

  

9、KIZAWA 折りたたみ傘 親骨55cmタイプ モンベルの折り畳み傘みたいなやつ。1シーズン使って強風の時でも壊れなかったので骨は大丈夫そう。 

10、TRI 角笛 Clarion 今まで使ってたAZLA shortが今後入手怪しいなぁと思った所で出たやつ。見た目も使い心地も価格も手頃で文句なし!

TINHiFi C3 LCP振動板の1DDイヤホン

 

今回ご紹介するのはこちら。
TINHiFi C3。以前T3 Plusというイヤホンがありましたが、そちらとほぼ同じ仕様だと思います。
Linsoulのリンクはコチラ。



 リキッドクリスタルポリマーという素材の振動板で10mmの1DDイヤホンです。
公式を見るとLCP composite micron-scale diaphragmとあるので少しグレードアップしてるのでしょうか。
0.78 2pin仕様。
少々大きく見えるボディですが非常に軽量。
フェイスプレートは少し粗目のカーボン柄。角度によって陰影が変化するので
箱を開けた瞬間「おぉ?」と声が出る程度にカッコいい。
ロゴも大きさと色味がシンプルな分、全体的に調和しています。
価格的には6000円台でも見た目の雰囲気はかなりのモノ。
少々ゴツめに見えるデザインですが装着感は良好。
ノズル自体は標準的な長さですが根本の盛り上がりがあるのでしっかり奥まで届くタイプです。

角度を変えてパシャリ
音質としてはハーマンターゲットカーヴを主張するだけありオールラウンドな音。
個人的にハーマンカーヴは低音を主張させつつ、中高音はギラつかない程度に主張させた
「聴きやすいけど楽しさは損なってない」バランスだと思ってるんですが
TINHiFi C3はその典型だと思います。

重低音はボリュームこそ控えめですがしっかりとした広がりと重さを残し全体的に迫力を出しています。
余韻が少し長い感じ。
サブベースはそれに比べかなり前に出てきます。ベースラインが非常に聴き取りやすい。
リキッドシリコンダイヤフラムと同じような印象で、弾力性の高い低音です。
最近の音楽も悪く有りませんが、こういう低音域は70年代~80年代の古めのロックを聴くと
バスドラムやベースに迫力が出て楽しいやつ。
本来ちょっと薄めだった音に厚みを出してくれますね。

中高音は主張強めのベースに気持ち飲まれていますがマイルドなのにディテールはしっかりと維持した
まさにハーマンカーヴらしい印象。
系統としてはTRIPOWIN Meleに近い。モコっとしてはいないがギラっともしていない、ナチュラルな傾向。
女性Voやギターカッティングの細かいニュアンスも聴き取れますがヌケの良さや伸びは並。
ドラムの金物やホーン、シンセサウンドは少し繊細さに欠けますが優しくてこういうのも偶には悪くない。

最近聴いているイヤホンがどれも明るい系のサウンドだったこともあり
去年末~今年の頭まではこういう音が流行ってた気がするという懐かしい気持ちになりました。
昨今のラインナップに比べると些か地味な印象は拭えませんが
見た目のシックな高級感、軽量でホールドのしっかりした装着感を含めると
Meleはちょっと合わなかったとかそういう方に是非試してほしいイヤホン。
存在感のある低音+ナチュラルさと繊細さのある中音域というワードでピンと来たら是非。



総評
オススメな人:ギラつきやシャリシャリ感の強い中高音に疲れてきた方。低音強めでシンプルな1DDを求めてる方。
個人的好み度:10点満点中/7点
完成度:10点満点中/9点 


LETSHUOER Z12 明瞭感&サブベース溢れる平面駆動イヤホン

 

今回ご紹介するのはコチラ。
14.8mm型平面駆動ドライバーを搭載したイヤホン S12をベースに
サブベースのみをボリュームアップしたイヤホン。Z12。

付属品のケーブルがアンバランス端子からバランス端子各種へ交換可能なギミック式になっている他
カラーリングも通常はBlack & Goldですが両方とも揃えることが可能というちょっと嬉しい販売スタイル。
あくまでチューニング違いなのでモデル自体は全く同じ。
とてもコンパクトで軽量なアルミニウム合金のボディはシンプルながら所有感を煽る高級感。
標準モデルであるS12はカラーリングがシルバーとグレーとシンプルでしたが
Z12はマットなブラックとオレンジがかったゴールドと、ロゴも印字されて少し派手な外装になっています。
私はオレンジ系が好きなので今回は両方ともGoldを選択しました。
実物を見ても画像通り、いやらしさのない(ゴールドを名乗るにしては)落ち着きのある色でした。
エッジ部分は少しダメージが目立ってしまう

とてもコンパクトなので装着感は人を選ばないと感じます。TRN VX PROよりも更にコンパクト。
それでいて丸みのある凹凸が少ないデザインなので長時間装着してもストレスがほぼゼロ。
0.78 2pin仕様で、ベントが2箇所。うち1箇所は2pin端子の直ぐ側に少し大きめのものが。
このベントのおかげか、グイグイと押し込んでも耳の中への圧迫感も少ないです。
ノズルが短めというのもあると思いますが、赤Braveryはガッチリと嵌まり込むため圧迫感があるので
長時間使うと外してから「ちょっと疲れたな」と気づくのですが
Z12はそういった意味ではまた別の意味で「理想の装着感」かもしれません。

音質としては凄まじい明瞭感とモリモリサブベースが同居したドンシャリ。
S12(S12Pro)は決してベースが少ないモデルではありません。
低音好きな自分としても「こんな出るの?」と圧倒されるようなボリュームは既にありました。
Z12はそこから更にサブベースを盛り上げているので古めのロックから最近の音数の多いダンスロックでも
素晴らしい存在感と重さを発揮してくれます。特にサブベースの量感は今まででトップクラスに重い。
ミドルベースのあたりは並の量感ですが低音域全体が程よい広がりと締りがあるので
全体をどっしりと支えてくれる存在感があります。

中音域はとても明るくシャープなサウンド。ピアノやキーボード、ギターのカッティング等
どれも気持ちよく存在感強めに鳴ってくれます。
時折強すぎて刺さる直前のような時もありますが、寒色傾向な音が好きな人なら許容範囲だと思います。
ただ楽曲に拠って偶に中音域の薄さ、力弱さを感じることがありました。
この辺り赤Braveryだと濃密にどっしりと濃さがあるんですが、Z12だと金属筐体でベントも大きめな
事が影響してか、パシャンと泡が弾けるような抜けと爽やかさ。これが僕にとっては弱さに感じました。サブベースが重くなったことで相対的にそう感じてしまうのかも。
基本的にはアタック感強めなので曲によって「この曲だとそうでもないな」と差を感じる。

高音域は繊細かつ 金属筐体の効果か綺羅びやかさがあります。
それでいて刺さるような刺激は無くスムースな印象。
パンチの強さで言えば弱めの部類ですがこの軽やかな音は平面に独特な気がします。
距離感も少しあるんですが決して埋もれているわけではなく、残響感も綺麗。
ジャリついた感じが一切ないので気持ちいい。


平面駆動色々あってどれ試したら良いかわからない。
という人には圧倒的好評価を得てるS12/S12proが手堅くオススメできる。
でもサブベースがどっしり来ないと満足出来ない!という我儘な耳にZ12はびったりです。
個人的にS12はいつか買おう。と思ってたらサブベース盛られて色もきれいなオレンジ寄りのGoldが出ちゃったので
こんなの買うしか無いじゃん。と飛びついたのですが後悔無し。
今となってはS12proが手元にあるので両者を聴き比べていますが主な違いはサブベースの量感だけでなく、中高音の抜けの良さも異なると感じました。Z12の方が圧倒的にサブベースが重い分、S12proに比べると少し中高音が追いやられてる感じ。

・サブベースが重ければ重いほど良いぞ!って人はZ12

・中高音の抜けをとにかく重視!って人はS12/S12Pro で良いと思います。

1万前後で狙うならTRN VX PROが鉄板で、2万前後で狙うならZ12(あるいはS12)。
装着感にストレスが無くて、基本的にどんな曲でも楽しく聴けるイヤホン。
非常にオススメです。


総評
オススメな人:ちょっといつもよりお金出して寒色系の完成度高いイヤホンが欲しい方。
個人的好み度:10点満点中/10点
完成度:10点満点中/12点 もっとこういうカラーリング増えてほしいですね!







Kiwi ears Cadenza ベリリウム採用の1DDイヤホン

 

今回ご紹介するのはこちら。Kiwi Ears Cadenza。
Linsoulより販売された新ブランドの第一弾にあたるイヤホン。
0.78 2pin仕様。ツヤのある樹脂ボディは若干厚みこそありますが
全体的な大きさとしては気持ち小ぶり。ノズルは標準~若干短め。気持ち太め。
軽量なので耳への収まりの良さもあり装着感は良好。
ベントがpin側と内側に2箇所。遮音性は標準的。

背面のフェイスプレートはmeleで見たようなマーブル系の模様。
商品画像と私のを比べる限り柄が異なるので、ガチャ要素の一つっぽいです。
よくある黒地に柄が付いてるタイプだろうなーと思いきや、実はスケルトン地なんですよね。
全体は黒地の指紋が目立ちやすいツヤツヤボディなのに。
マーブル柄フェイスプレートで色がない場所は透けて見えるってバランスが面白くて良い。
光の加減でかなりモロに内部の10mmDDが見えます。

わかりやすく照らした様子

音質としては深く重いサブベースと
中高音の旨味を出しつつ不快感の出やすい音域はバッサリカットしたドンシャリ。

サブベースは相当深くまで出ますがボワつかず2.1chスピーカーのサブウーファーのような余裕のある鳴り方。
音場に結構奥行きがあり、遠くでしっかり全体を包み込むような広がりがあります。
サブベースが盛られていると圧が上がる分狭く感じやすいけど
1DDというシンプルな構成のおかげなのか、ベリリウムの効果か。
余裕のある広がりを感じる気持ちいい低音。
ミドルベースはサブベースに比べると控えめですが並以上に量感があります。

中高域は一聴すると1DDのドンシャリ構成に出がちな不快感を伴うピーク、刺さりがバッサリカットされていて
「なにか足りないぞ?」と混乱しかけました。その前にS12proを聴き込んでいたというギャップもあるんですが。
女性Voからホーン楽器まで、ギラギラした刺さりは一切ないのに
カリカリっとしたベリリウムらしい硬質さはしっかりと残しつつ伸びてきます。
ドラムの金物等は気持ち後方に位置しており控えめですが細やかさを感じます。
ギターのカッティング等はCadenzaと一番相性が良く聴こえました。
シャキっとした硬さと適度なパンチを保ちつつ、シャープな刺激音はスマートに抑え込んである。

この中高音を表現するのに「まろやか」とか「まったり」という言葉はイマイチ当てはまらない。
はじめに書いたように旨味を最大限引き出しつつピークは抑えるというより抜き取ってしまったような割り切ったチューニングだと思いました。
でも結果として尖ってないまとまりのあるバランスが成立している。。。 JcallyのEP-09もベリリウム仕様のDDを積んでいましたが硬質さは確かに共通のもの。
でもアレだけ苦しめられた体がビクッとなるような刺さりパンチは皆無。


BAを積んだイヤホンや平面駆動やピエゾ等、パンチの強い中高音や細やかな音を出せるユニットの組み合わせは
数あれど、1DDでここまで「中高音の気持ちいところだけ持ってきたぞ」と言わんばかりのチューニングは
中々秀逸なものだと感じました。

同じくらいの価格帯でいうとTRIPOWIN×HBB Meleがありますが、あちらはナチュラルな弱ドンシャリなのに対し
Cadenzaはそのナチュラルさをもう少し硬質マッチョにしたようなパワーがあります。
ハイブリッド系のギラギラ、精細さは聴いてて疲れる!でもあんまりナチュラルな音は
もうちょっと遊びが欲しい!という非常に我儘な耳を持ってる方がいたら是非Cadenzaを試して欲しい。

1DD系のイヤホンは刺さるか、反対にまろやか過ぎてイマイチという人でもCadenzaは違う印象を与える音だと思います。
奥行きのある力強い重低音とパンチがあるのに何故か優しい中高音。そして奥行きと分離感も高め。
ついつい音量を上げてしまう面白いサウンドです。


総評
オススメな人:1DDイヤホン好きな方、刺さりやすい音に悩んでるけど、ウォーム傾向ではないイヤホンが欲しかった方。
個人的好み度:10点満点中/9点
完成度:10点満点中/9点 潔いチューニングで楽しく、刺さり無く楽しめて良い。全体的に指紋がベタベタ目立つのが玉に瑕。

Linsoulのリンクはコチラ




LETSHUOER S12 PRO S12の別仕様版

 

今回ご紹介するのはこちら。平面駆動イヤホンが数々とリリースされる中、
比較的初期にリリースされ未だ高い人気を誇るS12の別仕様モデル。S12 PRO。
内蔵ドライバやチューニング等基本的にはS12と同一。
14.8mm型平面駆動ドライバーを搭載したアルミニウム合金の金属筐体。
カラーリングは1色のみで、スペースグレーという紫がかったような灰色。
S12のカラーリングも結構渋かったですがこちらはより渋い。
濃紺とも違う独特の色合いと金属ボディのマットな質感がたまりません。

S12との主な違いはカラーリングだけでなく、付属ケーブル。
3.5mm端子は勿論、2.5mm 4.4mmバランス端子にも交換可能。
バランスにしたいから別途ケーブルを買わなきゃとか、買うときに4.4mm版を選ばないととか
そういう煩わしさからの開放と、環境の変化にも対応出来るギミックは素直に嬉しいですね。
というか豪華。
S12シリーズの付属ケーブルは音質、取り回しといい使用感の良い見栄えするタイプなので
満足感高め。

S12やZ12と異なるノズルのメッシュ
pin側のベントが大きい
0.78 2pin仕様で、ボディはかなり小さめ。金属製ですが非常に軽量でもあります。
丸みを帯びており特に突出した箇所がないので収まりが難しいかと思いきや、きれいにすっぽり収まりました。
長時間使ってもまったく疲れのない装着感。
ベントが2箇所あり、1箇所は端子のすぐ側に大きめのものが。
3つ並べていたりする仕様は時折見かけますがここまで大きめなベントは初めてみます。
ベントなのにゴミが入らないようにメッシュが付いているくらいには大きい。
ちなみにS12との違いとしてノズルのメッシュが少し荒い目のタイプになっています。
S12とZ12は細かいよくあるタイプのメッシュですがS12 PROはTRI-I3でみたようなメッシュに似てますね。

音質としてはくっきりと解像度の高く広がりのある中高音が印象に残るドンシャリ。
まず中高音の透き通ったクリアさに度肝を抜かれます。
今までも平面駆動ドライバを搭載したイヤホンはいくつか経験してきましたし、
寒色系の名機Braveryもお気に入りですがそのどれと比べてもちょっと明るさが1段階違うなというレベル。

サブベースは中高域に圧倒されて見落としがちなんですが実はかなり出ます。
ポップス等中心に聴くとわかりにくいんですがメタル・ロック・ダンスを聴いたり
ライブ音源を再生すると「こんなあったの君」というくらいグゥンと響きます。
ミドルベースも解像度はかなり高めで、しっかりソリッド感のある鳴り方。
DDのような弾むような感覚は少ない引き締まった音ですが、引き締まってなお存在感のあるベースは
低音域控えめのほうが好みという方でも是非聴いて欲しい魅力があります。
反応が早いというか、残響感が少ないので存在感はあるのに決して全体を阻害しない。

中高音はとても明るく、シャープで存在感強めですが刺さるような不快感まではない。
平面駆動の真骨頂を引き出したチューニングなのか、ドラムの金物やホーン楽器、ドラムのスネア、女性Vo
全てが解像度高めのクリアなサウンドで抜けが良く、かつ力強さもある。
大きめなベントが功を奏しているのか、クリアさ、抜けの良さ、力強さが全て高水準を保っています。
濃密さでいえばBraveryに軍配ですが、金属筐体によくある綺羅びやかな残響感は
S12 PROの音質と相まって非常にクセになります。
耳から離れてくれなくて困る。

平面駆動色々とあってどれが良いかわからない!という人にはS12/S12 PROは非常にオススメ出来る手堅い1本だと思います。
ほんと強いてあげるなら、カリカリとしたドライな中高音は苦手で、丸みのある音じゃないと困るとか。
イヤホンはグイグイと奥に突っ込んでがっちり遮音性と閉塞感のある状態が好み!という人だったら
あまり向いていません。遮音性は並以上にありますけどね。
個人的には平面駆動とか関係なく万人にオススメ。
価格的にもセール時を狙えばS12は1万前半で購入できる機会も珍しくないのが更に良いところ。
5千~1万円クラスならTRN VX PROですが、あの方向性が好きなら是非こちらも候補に入れて欲しい。

近日Z12もレビュー投稿予定。「じゃあZ12はどうなの」と思った人はお待ち下さい。



総評
オススメな人:寒色系で完成度の高いイヤホンがほしい方。 解像度高めな音が好みな方。
個人的好み度:10点満点中/10点
完成度:10点満点中/12点 音、質感、付属品。文句無し。